■備えあれば憂いなし-今日の話題 環境ISO要求事項、見落としていませんか?② 附属書A、翻訳されたJIS規格文末にある解説文を引用しながら、国の動きも含めて、環境ISOそのものが、すでに気候変動適応に言及しているということについて触れたいと思います。まず、附属書Aでの緊急事態に関する記述を見てみましょう。A.8.2緊急事態への準備及び対応項では、「そのプロセスを計画するとき、組織は次のことを考慮することが望ましい」として、“様々な種類の緊急事態”、“計画した緊急事態対応処置の定期的なテスト”、“避難ルート及び集合場所”、“近隣組織からの相互支援の可能性”に言及しています。つまり、単一の緊急事態だけを対象とするのではなく、考えられる一通りを対象にすること、その緊急事態に向けた処置のテスト(いわば適切な対応がとれるかといった一般的に言う訓練)を定期実施すること、適切な避難ルートや集合場所を考慮すること、自社だけでなく近隣相互の支援体制を持てるかどうか含むこと、を求めているのです。ちなみに、翻訳されたJIS規格の巻末には「解説」分が掲載されていますが、その解説文の中の、3.1項対応国際規格の審議中に特に問題となった事項のひとつとして、「緊急事態に関する要求事項」の解説があり、「“緊急事態”には、環境に影響を与えなくとも、組織に影響を与えるような事態を含み得る」として、環境影響の有無にかかわらない捉え方を推奨、もうひとつ、「環境保護の概念の拡張」の解説では、「“気候変動への適応”」も、環境保護に含み得ることを明確に示しました。汚染予防、持続可能な資源利用に留まらず、人間社会が経済活動を通じて生じさせている気候変動に、すでに適応していかないとならない現実感を、2015年の段階で言ってくれているのです。ちなみに、SDGsやこの規格要求を直接受けた訳ではありませんが、国内では、2018年に「気候変動適応法」を制定、施行、その第5条に「事業者は、自らの事業活動を円滑に実施するため、その事業活動の内容に即した気候変動適応に努めるものとする」という文言が入っています。これからの時代は、気候変動が益々顕著になる中、緩和策だけでは、事業は成り立たず、今こそ適応した動きをとらないと生き残れなくなるとして、環境省は、本法を受けて「民間事業者の気候変動適応ガイド~気候リスクに備え、勝ち残るために~」と題した指針を発表、直近では第2版を発行するに至っています。環境マネジメントシステムに取り組む場合、これらの要求事項を今一度再認識し、その要求事項に照らした動きを取ることが期待されます。むしろここに取り組まないと、要求事項への不適合であり、そもそも事業も立ち行かなくなる可能性を秘めているといっても過言ではなくなってくるでしょう。 |
コラム:防災用語 「大規模災害の3連動」国は、特別措置法をもって発災リスクを懸念している大規模災害が、複数あります。「首都直下地震」「南海トラフ巨大地震」「富士山噴火」です。この3つは、あくまでもその可能性ですが、時間差をもって連動して、さらに大規模な災害に発展することを、このように言うことがあります。人の力では止められない災害が、立て続いて起こることがないとは言えないと強く指摘する専門家もいます。 |
★この日に起きた災害や事件、事故 貨物船アンチバロス遭難(野島崎沖・昭和56年)行方不明者35 |
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