12月13日 朝礼話材

■備えあれば憂いなし-今日の話題
防災関連の法規制は災害発生と共に考えられる!?  残念ながら、我が国における法令化、法整備は、予見的には進まず、実際に発生したその事象に伴う課題を探る中で、その必要性が叫ばれる顕在化してからの進め方になっています。よって、道路交通法や事業用自動車の関連法規制も、みな実際に事故で多大な影響や犠牲が生じたことを原点として、制定あるいは改正されているのが現実です。防災に関わる法規制も同様です。「戦後の防災法制度と体制の歩み」という資料を、内閣府が発行する防災白書に添付される形で見ることができます。それによれば、1940年代では、枕崎台風やカスリーン台風をきっかけとして「水防法」が、南海地震をきっかけとして「災害救助法」が、福井地震をきっかけとして「建築基準法」が、それぞれ出来たり改正されたりしています。1950年代に発生した伊勢湾台風は、「治山治水緊急措置法」や、「災害対策基本法」、「激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律」に繋がりました。1960年代に入り、豪雪被害から「豪雪地帯対策特別措置法」に、新潟地震から「地震保険に関する法律」に、そして、1960年代と1970年台での羽越豪雨及び桜島噴火・浅間山噴火から、「災害弔慰金の支給等に関する法律」「活動火山周辺地域における避難施設等の整備に関する法律」が、宮城県沖地震では「建築基準法施行令の一部改正」に繋がりました。1990年代に入っては、兵庫県南部地震、広島豪雨で「地震防災対策特別措置法」「建築物の耐震改修の促進に関する法律」「密集市街地における防災地区の整備の促進に関する法律」等が、広島豪雨では、「土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律」、2000年代に入っては、新潟・福島豪雨等・新潟県中越地震で「建築物の耐震改修の促進に関する法律と「宅地造成等規制法」の改正が、東北地方「東北太平洋沖地震(東日本大震災)」は、「津波対策の推進に関する法律」「津波防災地域づくりに関する法律」「原子力規制委員会設置法」、さらに「大規模災害からの復興に関する法律」「大規模な災害の被災地における借地借家に関する特別措置法」に、御嶽山噴火では「活動火山対策特別措置法」一部改正、熊本地震は「災害対策基本法」一部改正に繋がりました。予見的な整備事例では、1976年の東海地震発生可能性の研究発表から「大規模地震対策特別措置法」が出来ています。極めて稀なケースでしょう。これからも、大規模災害が起こるたびに新たな法令の必要性や、既存法令の改正是非が議論されるでしょうが、被災を最小限にし、命の確保をするためには、法規制の枠組みにこだわらない、防災知見や知恵が必要であろうことは、言うに及びません。
コラム:防災用語 「稲わらの火」大規模地震の発生後、自ら刈り取ったばかりの稲の束に火をつけ、火災と見立てて消火を呼び掛け、祭りの準備をしていた低地に暮らす人々を津波から救ったという言い伝えです。実際に現和歌山県広川町であった出来事がもとになっており、津波の早期警戒と避難教訓として伝わっています。広川町には防災教育施設「稲むらの火の館」があり、展示室や津波映像シアター等があります。
★この日に起きた災害や事件、事故
なし

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