■備えあれば憂いなし-今日の話題 マネジメントシステムでの観察事例紹介!③ シリーズ3回目の今日は、「観察事項~良好点」の続きです。❸『組織は、緊急事態に備えて「対応フローチャート」が作成され、当該事態が発生する場所にフィルム化させて掲示していました。また絵を多用し、文字も離れたところから視認できるよう大文字・太字にし、注目箇所はカラーで示す等、発災した“その時”を考えた配慮がされています。ちなみに、これらの配慮は、これまでのたび重ねた訓練で、参加者から出された声を活かした結果であるということであり、いずれも高く評価できます。』❹『組織は、大地震等の発生時、条例に応えて従業員を帰宅させないことを前提として災害備蓄品を購入しその時に備えていますが、すべての食品や飲料を一か所にまとめず、従業員ひとりひとりの分を机の下に置かせています。「自分の分、自分のことは自分自身で」を合言葉としていました。その上で不足する分を何か所かに分けて保管していました。』❺『緊急事態に備えた組織の「緊急連絡先一覧」は、これまでの上位職者を中心とした全社版の、連絡順を主体としたものを根本的に見直され、各現場、各職域で権限を委譲された者の連絡先に留め、それ以上の上位職者への連絡は事後で良いことを明確化させ、かつ設備業者や修理業者、緊急仕入先等を整理しなおして、本一覧に加えていました。緊急時の慌てた状況下で対応することを配慮したものになっています。』❻『この店舗では、火災訓練を3カ月ごとに実施していました。毎回発火源(出火元)を発生する可能性と被害の大きさに応じて、さまざまなフロア、売り場と設定し、その日時、時間、天候、風向き、来店客数等々詳細に想定し、その場その場の売り子がどう動けるか、最寄りの消火器や消火栓の場所確認から、通報~誘導~屋外避難まで可能な限りの出勤者で役割分担し行っていました。特に日によって異なる売り場配置に従って、消火栓が火元に届くか否か、それによっては売り場レイアウトに考慮が必要かどうか等も、検討されています。評価できます。』❼『当該施設では、定期的かつ抜き打ちで頻繁に「シェイクアウト訓練」を工場内で行っています。また時間設定や訓練内容も多岐に及び、毎回かなりリアルな想定下で、その時々の出勤者で指揮者を決め行っていることを動画で確認しました。いつどのような状況下で訓練するか、一部要員しか知らされない中で、その時の要員によっての判断も多く緊張感を保った訓練となっており評価できます。』❽『当該事業所では、早くから障がい者雇用に積極的であり、かつ健常者を含めた平均年齢も60代前半と、高齢者によって支えられています。日常から車いす移動の通路幅を確保するとともに、障がい者用トイレの整備やエレベータの設置を推し進めてきています。先般の避難訓練では、停電時を想定しての訓練が行われ、反省会でエレベータが使えないことを問題視し、階段に簡易昇降椅子をつける改善案が出ていました。訓練で実際に車いすを押しての中で気づけたようであり、訓練の有効性について高く評価できます。』いかがでしょうか。3回にわたり、マネジメントシステム審査で私が組織にコメントしてきた事例の紹介でした。少しは、防災・減災に向けたヒント、有効性に向けた方向性が理解いただけたでしようか。 |
コラム:防災用語 「立ち退き避難」災害が発生し、命の危険が迫っている状況の中で、その危険がある場所から一刻も早く移動、避難することをこのように言います。警戒レベルでは5の段階です。しかし何らかの事情で移動、避難が遅れ、立ち退き避難さえできない状況に陥った場合は、むしろその場所の中で最も安全が確保される場所、例えば上階の山肌側でない部屋等で、命を守る行動を取ることが求められます。その状況は“緊急安全確保”と呼ばれています。 |
★この日に起きた災害や事件、事故 福島郡山磐光ホテル火災(昭和44年)死者30、負傷者41 |
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