■備えあれば憂いなし-今日の話題 すべてのマネジメントシステム規格要求事項に気候変動適応が加わる!?③ 前回2度にわたって記した「気候変動」ですが、最後に記した「気候変動適応法」から、改めて紹介することとします。この法律は、基本法的な要素の法律であることから、具体的な施策や罰則が記されたものではありませんが、その意図を適切に伝えようと、逐条解説した文書が出されたことは、極めて異例です。「気候変動適応法逐条解説」https://www.env.go.jp/content/900449823.pdfです。「背景」「適応を巡る国際情勢」「経緯」「新法とした理由」が冒頭に記されていますから、ここだけでも、その重要性が理解できるものと思われます。全部で20箇条ありますが、個別に詳しく、条文の意図が記されています。「事業者」に関わる箇条は第5条です。少し紹介しましょう。「事業者の努力」と銘打った箇条ですが、その内容は、「事業者は、自らの事業活動を円滑に実施するため、その事業活動の内 容に即した気候変動適応に努めるとともに、国及び地方公共団体の気候変 動適応に関する施策に協力するよう努めるものとする。」です。本箇条の解説が詳述されていますが、簡単に引用するなら、事業者はその特性に応じて、①気候変動影響によって自らの事業が途絶えることのないようにサプライチ ェーンの多重化や洪水時の浸水対策など、業務を円滑化させるためのリス クマネジメントの取組、②防災・減災に資する技術開発、製品・サービスの販売や、高温耐性品種の 開発や販売など、その事業分野に応じた適応ビジネスの実施、の2点で貢献することを求めています。環境省では、この「気候変動適応法」の制定、施行に伴って、「民間企業の気候変動適応ガイド」という冊子を発刊しています。初版は2019年に出されており、その後、一層主要な企業の適応策を掲載した改訂版が2022年に発刊されました。900442437.pdf (env.go.jp)。サブタイトルとして「気候リスクに備え、勝ち残るために」としているほど、事業への適応が企業の生き残りに影響を与えるとしています。この目次構成をお伝えしましょう。「第Ⅰ章 気候変動は、経営の最重要課題に」「第Ⅱ章 事業活動における気候変動影響」「第Ⅲ章 気候変動への取組をチャンスに変える」「第Ⅳ章 気候変動適応の進め方」となっています。多くの企業事例が掲載されていることから、多くの企業の参考になるものと思われます。また、本冊子とは別に、環境省では、国際航業株式会社の編集による参考資料、「A.1 企業の気候リスクに対する認識と対応の実態」「A.2 企業の気候変動適応の取組に参考となる情報」も公開しています。「同参考資料」900449114.pdf (env.go.jp)。業種別の物理的リストと機会、業種別の適応事例が記されています。みなさまの業種があるかと思われますので、とても参考になるでしょう。国土交通省においても、その河川計画課で行われた「気候変動を踏まえた治水計画に係る技術検討会」の中で、昨今頻発している豪雨災害を捉え、「社会全体で気候変動下での防災・減災対策の推進の基本的な考え方」資料を出しています。こちらを見ても、生活基盤、事業継続する上で、気候変動対策は欠かせないものであることがわかると思います。03_kihontekinakangaekata.pdf (mlit.go.jp)。最後になりますが、国のひとつの研究機関である「国立研究開発法人国立環境研究所」では、「気候変動適応情報プラットフォーム」を組んで、地方自治体や業界団体等との連携が必要不可欠として、関連情報を整理しまとめて、公開していまので、こちらを紹介して、本シリーズを終了したいと思います。「気候変動適応情報プラットフォーム」関係省庁の適応に関する取組 | 国の取組 | 気候変動適応情報プラットフォーム(A-PLAT) (nies.go.jp)。 |
コラム:防災用語 「災害ADR」そもそもADRとは、代わって(Alternative)、紛争を(Dispute)、解決する(Resolution)の頭文字で、弁護士が裁判手続きなく、当事者の間に入って、仲裁や調停、あっせん等を行うことです。一般的に裁判による解決には相当の時間を要しますが、災害時は、双方の負担を最小限にすべく、特に早急の解決が期待されることから、弁護士等専門家が協力しあって、早期解決を図る動きをすることがあります。これまでも東日本大震災時やコロナ禍時等で行われました。 |
★この日に起きた災害や事件、事故 尼崎スーパー長崎屋火災(平成2年)死者15、負傷者6 |
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