■備えあれば憂いなし-今日の話題 緊急時に備えて作ったもの、用意したものは、プリントし取り出しやすくし、あるいは掲示を! 仕事柄、多くの企業に出向きますが、以前にも少し触れた通り、緊急時対策や防災・減災に向けた取組みは、全般的に脆弱な企業が多く、有効性に欠ける状況が多く見受けられました。その中で、ひとつ気になったのが、緊急時に向け、いろいろ作ったり集めたり、まとめたりしたものが、本当のその時に活用できるのだろうかという点でした。今日は、そのような観点から緊急時に向けた準備のコツを記してみたいと思います。もし、これらの作成やまとめ、収集に不足があるのなら、まずはそこからでしょうか。大規模災害は、いつどこで起きてもおかしくありません。昨今の異常気象や、日本各地の頻繁な揺れを考えれば、そう遠くなく、被災する危険が迫っていると言って良いと思います。株主をはじめとする利害関係者のニーズや期待も、このような状況下を乗り切れ、製品群を広げろ、だけでなく減災に努めて、事業継続に大きな障害が起きないようにといった方向になりつつあります。さて、それでは、緊急時向けに作ったり、集めたり、まとめたりするものを拾っていきましょう。⑴災害対策マニュアル:名称はいろいろでしょうが、地震や火災、化学物質や危険物の流出等の発生に向けた対策について、規定化したものです。検討だけして文書化していない場合は、ぜひ文書化しましょう。⑵BCP(事業継続計画) :災害等によって事業を一時停止せざるを得なくなった際、事業再開に向けたステップを規定したものがBCPです。2011年の東日本大震災の後、国が作成を推奨したことで多くの企業が作っていますが、内容はテンプレートに添っただけで、その企業、場所ごとの具体性に乏しいものが多く見られます。⑶ハザードマップ:行政が作成し公開または配付しています。震度予想マップや浸水予想マップ、土砂災害予想マップ等、いくつかに分かれている場合もあります。内水氾濫マップはまだ多くの自治体で未作成のようです。発行されている限り、その場所ごと入手しましょう。⑷避難経路図:避難経路図は、例えば、社屋内外のどこに集合だとか、どの経路で逃げるかとか、近くの避難場所、避難所への道順はといった情報を、平面図や地図に落とし込んだものです。その時に慌てないためにも、引き出し等にしまわずに掲示することがおススメです。その場合、掲示する場所の向きに従って左右整合がつくようにし、ひっくり返さなくても一目瞭然にすることがポイントです。掲示した現在地をその中に記しておきましょう。⑸フロアマップ:ビルや工場、事務所等々それぞれの建物のフロア平面図です。どこが解放口か、階段か、消火器があるか、危険があるか、いざという時、瞬時に判断・把握するために重要です。⑹SDS(安全データシート) :化学物質や劇毒物等には必ずメーカーが発行している、起こり得る危険やその際の応急処置等が書かれたシートを受け取っているはずです。中にはパソコンで入手するようになっている場合もあるでしょう。よく事務所の書棚等に保管している企業がありますが、その物質を扱っている場所に置いて、すぐに見られてこそ有効です。⑺役割分担表:緊急時にどう動くか、何をするか分担しあっておくことは大事です。ただしその時に、フルに担当が揃っているとは言えませんから、柔軟にそして瞬時に役割を変更させ得ること、指揮が働くことがより重要です。⑻緊急連絡先一覧、緊急連絡網:個人情報保護法によって、作成をやめた、管理は総務のパソコンの中だけという企業も多いかも知れません。緊急時に連絡が取りにくくなっていませんか。⑼主要顧客連絡先:顧客の安否確認ができることは、その後の営業再開に直接影響を与えるでしょう。⑽サプライヤー連絡先:多く見られることが、見直しできておらず、連絡先や担当者が変わってしまっていて、購買担当者しかわからないというもの。連絡先は最新化されていますか。ここで紹介したものは、いずれも❶パソコンの中だけでは、すぐに見られない、開けないというリスクが高まります。また見たい場所で見られないことによる対応が遅れるリスクも高まります。アナログかも知れませんが、紙媒体で作成し、必要な場所、見たい場所に掲示しておくことがおススメです。個人情報は、本人の合意を得て、掲示はできなくてもすぐに引き出せるようにしておきたいものです。 |
コラム:防災用語 「死火山」50代以上の人は、学校教育で火山を学ぶ際に、死火山という用語を使って、有史以来活動の記録がない火山をこう言うと教わってきていると思います。また一時的に活動を休止している火山を休火山と呼ぶとも教わったと思います。しかし現在では、この分類はなく、すべての火山は活火山と一律に言われるようになっています。富士山も活火山のひとつです。 |
★この日に起きた災害や事件、事故 浦賀沖地震(昭和57年)M7.1負傷者167、家屋全壊13 |
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