■備えあれば憂いなし-今日の話題 非常口、避難方向、複数ありますか? 令和3(2021)年12月、大阪北新地のクリニックで発生した放火殺人事件は、まだ耳に新しいかと思います。この事件では、クリニック入り口付近にガソリンが撒かれ火がつけられたことにより、逃げる方向を失い、被疑者を除き26名の尊い命が一瞬にして奪われました。当該ビルは階段がひとつしかなく緊急事態が発生した場合、一方向からしか逃げられない構造になっていたことから、全国にある同様のビルの立ち入り調査を行いました。この調査結果を受け、消防庁及び国土交通省の有識者検討会は、避難経路がひとつしかない建物でも安全に避難可能とするため、既存不適格ビル(1974年以前の基準で建てられた建物)であっても全面的新基準適合でなくとも、改修を可能とする改正が行われました。みなさんが居住しているビルはどうですか?現在の建築基準法施行令では、6階以上の建物には、ふたつ以上の階段を設ける2方向避難が義務付けられています。そして本改正により、それ以前の基準により建てられたビルも、全面改築による新基準適用を受けず、まず2方向避難に向けた改修ができるようになりました。いずれかから火災が発生しても、逃げる方向が2か所以上あることは、たいへん重要です。放火殺人といった事件はイレギュラーですが、通常火災も十分あり得ます。地下階であれ高層階であれ、工場であれ、複数の避難経路が確保されているか、一度確認することをお勧めします。そして、火災や地震などの想定訓練では、いつも同じ避難経路を使うばかりでなく、違った火元想定、風向き想定をして、別の方向から逃げてみる訓練をしましょう。避難導線が確保され、扉が開閉できるか、扉を出た先が安全か、人が集中しても容易に避難できるか、経路付近に危険物はないか。きっとこれまで気づかなかった、新たな発見、不具合、要改善点が見つかるに違いありません。 |
コラム:防災用語 「福祉避難所」福祉避難所は、高齢者や、障がい者、妊産婦、乳幼児、入院するまでもない療養者など、一般の避難所では支障がある要配慮者に対して、それらの人へ配慮がなされた避難所を言います。内閣府が作成した「福祉避難所の確保・運営ガイドライン」が発行され、それに沿って指定、運営準備が進められています。 |
★この日に起きた災害や事件、事故 なし |
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