■備えあれば憂いなし-今日の話題 こんなところまで津波くる? 多くの人から「当社は海からはほど遠いので、まず津波の心配はしていません」という返答をいただくことがあります。「ここからは社屋の屋上に出ても海は見えませんから」とも。私も、岩手県や宮城県の三陸沿岸各地を訪ねるまでは、海が見えないところに津波は来ないだろうと勝手に思っていました。そんな勝手なイメージは、現地を訪ねて崩れ去りました。内陸に入って、海からは数キロ離れた、山肌に囲まれた閑静な住宅街、海は見えず、もとよりその音さえ聞こえない、緑に囲まれたところで、「この避難所で多くの人が津波にのまれ亡くなりました」という話を伺ったのです。山に挟まれた川を遡上した津波が、その地域一帯を飲み込み、流しつくしたのです。東日本大震災での津波に関する内閣府の報告書では、各地を襲った津波の高さは、観測された高い地点で、9.3メートル(福島県相馬)、津波痕跡では、14.8メートル(宮城県女川)ということですが、陸地の斜面を津波が駆け上がる遡上高では、40.5メートルとのことでした。そのような津波の高さは、そのまま陸地の奥へと進む力となります。仙台平野では、海岸線から5キロメートル内陸まで浸水したと言います。別のデータでは、石巻では海岸線から9キロメートルほど内陸まで浸水したようです。つまり、海から遠いというのは津波が来ないという根拠にならないということです。ふだんから、地域ごとに作成されているハザードマップを確認したり、地震や津波、長時間豪雨などを想定した図上訓練を行って、その土地の災害上の脆弱性を考えたり、避難方向を検討したりすることは、いざという時に命を確保する行動に繋がるものです。ぜひ「ここは安全」と思わないでください。「ここも被災する可能性がある」と思って、防災・減災対策を打ってほしいものです。 |
コラム:防災用語 「IPCC報告書」国連気候変動に関する政府間パネルが策定する文書をいいます。全国地球温暖化防止活動推進センター(JCCCA)のホームページによれば、IPCCは総会のもとに第1作業部会(気候システム及び気候変動についての評価)、第2作業部会(生態系、社会・経済などの各分野における影響及び適応策についての評価)、第3作業部会(気候変動に対する対策(緩和策)について評価)と各国における温室効果ガス排出量・吸収量の目録に関する計画の運営委員会であるインベントリ・タスクフォースで成り立っているといいます。作業部会ごとに報告書が出され、直近では、本年3月20日に第6次の評価報告書統合版が公表されています。 |
★この日に起きた災害や事件、事故 三陸地震津波(明治29年)M6.8、死者21,920、家屋倒壊・流失11,723大津波発生陸前吉浜24.4m |
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