■備えあれば憂いなし-今日の話題 さまざまな立場や視点で防災を考えよう! 従来は、どちらかというと災害に向けてさまざまに計画を組むにも、防災に向けた準備をするにも、社会の中核を担う中年男子によって進められてきたように感じます。それが東日本大震災をきっかけとして、その教訓を活かすべく、さまざまな視点で考える必要が叫ばれるようになりました。新聞やテレビの特集でも「女性の視点で」とか「被災者の立場で」、「子どもの目線で」といったテーマが取り上げられるようになっています。それは、単にそれぞれが身を守るという方策を考えるだけではなく、災害前の日常をいち早く取り戻すためには、そこに住まう多様な人々の、個々に異なる価値観や必要とする支援内容を考慮することが重要で、狭い範囲による計画では早い復旧・復興に繋がらない、もっと言えば、被災者支援がままならず、不安や絶望感が増し、病状が悪化するなどして間接死が増えてしまうといった弊害がでてくるからです。そのためにもさまざまな立場や視点で考え押し進める必要があるのです。そういう意味では、防災は地域の包括的で総合的なリスクマネジメントが求められるとも言えます。対処するための計画にはプロセス設計が必要ですが、よい設計をするためには、関連し合う利害関係者が参画し、専門家を含めたインターフェイスを確保することです。建物の設計や設備機器の設計と同様です。そこを怠ると設計した結果となるアウトプットがニーズに応えなかったり、妥当な働きをしてくれなかったりといった結果を生じます。新型コロナウイルス感染症への対応も同様で、ある一方のリスクまたは利害を捉えた対応策では、どうしても遅れ遅れになり、もっと言えば、そのような事態が起きる以前に防疫の観点で、準備設計が適切に描けていたかという疑問も残ります。防災は、“起きる前の準備プロセス”“起きた時の即応プロセス”“復旧・復興をタイムリーに進めるプロセス”の3つのプロセスで成り立ちます。女性、被災者、子ども、さらに障がい者、乳幼児、入院中の人、性的少数者(私は決して少数ではないと思っています)などの、それぞれの眼の高さで声を拾い、考えをすくっていくことが、これからの防災には欠かせない、欠かしてはいけないものであると思っています。 |
コラム:防災用語 「国連防災世界会議」国連主催の会議体の一つ。国際的な防災戦略について議論する会議です。これまで3回開催されていますが、いずれも我が国で行われました。第1回は1994年に横浜で、第2回は2005年に神戸で、第3回は2015年に仙台で行われています。直近第3回では「仙台防災枠組2015-2030」が採択されました。ここに示されたひとつに「優先行動」があり、なによりも優先して「災害リスクの理解」「災害リスク削減への投資」「効果的な災害対応への備えの向上」などが謳われています。 |
★この日に起きた災害や事件、事故 有珠山山麓噴火(昭和19年)死者2、負傷者1昭和新山形成 |
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