■備えあれば憂いなし-今日の話題 熊本地震では8割が災害関連死! 災害関連死については、これまでの朝礼話材でも、防災用語としても取り上げてきました。今日は別の視点から熊本地震を取り上げてみましょう。熊本地震は2016年4月14日に第1震、同16日に第2震と立て続けに発生した、いずれも震度7を記録している巨大地震でした。この地震では、熊本城の損壊や阿蘇大橋の落下、複数の自治体庁舎の倒壊が話題となりました。熊本城は修復途上、阿蘇大橋は震災遺構として保存され、倒壊した庁舎は新庁舎へと進展しています。しかし熊本地震では隠れた情報のひとつとして、今日改めてテーマとした「災害関連死」があります。2度の地震で併せて273人の尊い命が失われましたが、建屋倒壊による圧死や橋からの車ごとの落下による事故死といった直接死は55人であり、8割にあたる218人が地震そのものでは生き延びたにも関わらず、その後に亡くなった災害関連死でした。心身に不調をきたした自死もありますが、多くは持病の悪化、脳梗塞や心筋梗塞といった血液循環器系の発症による突然死でした。中には、入院中の病院が被災し倒壊の恐れがあるとして転院を余儀なくされ、移送中に亡くなった幼い子の事例も含まれているようです。地震では死なずに助かった命が、地震から数日、数週間経ってから失われるというのは、なんとしても防がなければなりません。被災後に命を失わないために、どうすればよいかの議論は進んでいるように思えません。特に高齢化が進む中、避難生活でも心身を維持させる、つまり、適度な運動をし、人と話し、娯楽番組で笑い、美味しいご飯を食べるという、避難を暗いものにしない試みが、一層進展させていかなければならないと思うものです。避難の議論は、今やっと自宅避難、親戚・知人宅避難、指定避難所への避難といった“分散避難”、そして避難所での“運営管理”、“多様性考慮”、“プライバシー確保”、“トイレ対策”などは進展してきていますが、避難者の“運動”、“娯楽”、“美味しい食事”は、今後の重要なテーマになるものと思います。事業経営の視点からとらえると、災害が多い我が国では、避難生活は今後も場所を変え確実に発生することから、このあたりに新たなビジネス機会があるかも知れません。 |
コラム:防災用語 「共振」共振とは、外部で発生した地震動などによるエネルギー刺激が離れた建屋などに伝わり、固有振動を発生させる現象です。5つの振り子の片方からエネルギーを与えると、反対側の振り子が降り始めるのと同じ理屈の現象です。今年(2023年)2月に発生したトルコ地震では、この共振によって多くの建物が倒壊したと言われています。 |
★この日に起きた災害や事件、事故 なし |
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