■備えあれば憂いなし-今日の話題 シリーズ:労働安全衛生マネジメントシステムについて学ぼう② ポイントとなる主な要求事項: ISO45001:2018の冒頭「序文」の0.3に「成功のための要因」が記され、この規格要求事項への取組みによる成功のカギについて触れています。①トップマネジメントのリーダーシップ、コミットメント、責任及び説明責任、②当システムの意図した成果を支援する文化をトップマネジメントが組織内で形成し、主導し、推進すること、③コミュニケーション、④働く人及び働く人の代表の協議及び参加、⑤当システム維持のために必要な資源の割振り、⑥組織の全体的な戦略目標及び方向性と両立する、労働安全衛生方針、⑦危険源の特定、労働安全衛生リスクの管理及び労働安全衛生機会の活用のための効果的なプロセス、⑧労働安全衛生パフォーマンスを改善するための当システムの継続的なパフォーマンス評価、及びモニタリング、⑨組織の事業プロセスへの当システムの統合、⑩労働安全衛生方針に整合し、組織の危険源、労働安全衛生リスク及び機会を考慮に入れた労働安全衛生目標、⑪法的要求事項及びその他の要求事項の順守、です。特にトップマネジメントによる強力な牽引と、働く人(雇用形態に関わらず、当該組織下で働く要員すべて)全員の参画が、この労働安全衛生マネジメントシステム運用による成果、つまり労働災害の限りないゼロ化に向けたキーであるということです。ちなみに“働く人”は、英文でワーカー(worker)であり、用語の定義では、その注記として“働く人には、トップマネジメント、管理職及び非管理職が含まれる”とし、使用者側と雇用者側の区別なく、すべての要員の安全衛生を求めています。 リスクアセスメントの考え方(定常危険源と非定常危険源、先取り危険源): 危険源の洗い出しから、一定の評価による優先順位付け、対応策の検討に向けた一連の活動を、リスクアセスメントと言い、このリスクアセスメントの出来栄え、つまりアセスメントの程度の良否が、マネジメントシステムの有効性、成果に繋がってきます。例えば、危険源の洗い出しが十分でなければ、評価自体のテーブルに乗らず、対策の必要性の判断さえ行われない、欠落したアセスメントになり、そこでひとたび事故が発生すれば、想定外での発生と安易に片づけてしまいかねません。ISOの規格では、リスクアセスメントに際して、まず、危険源の特定をすることを求めていますが、その特定に当たっては、現状からだけでなく、先取りして特定することも求めているのです。また、普段の日常的な活動(定常作業)だけでなく、日常的ではない活動(非定常作業)も、対象にしなければなりません。そう考えると、危険がありそうな箇所を、いかに洗い出すかということになります。規格は、こうも言っています。「リスクの評価方法及び基準は、問題が起きてから対応するのではなく事前に、かつ、体系的な方法で行うことを確実にする」とも。 自分の事業活動の前後にある企業にも安全衛生の影響を及ぼす: 安全衛生は、自分の企業、事業活動のみならず、その前後も考慮しなければなりません。それが、企業がマネジメントシステムを通じて及ぼせる範囲ということになります。SDGsと同様に、誰一人取り残されない社会にしていくことが望まれているのです。 起こり得る緊急事態には、予想外、予定外が含まれる: 規格は、企業が事業活動を通じて起こり得る緊急事態には、予想外又は予定外の状況を含むとして、その例示として「職場における機械の発火、又は職場の近隣若しくは働く人が労働関連の活動を行っている自然災害」を挙げています。また、在宅勤務者の在宅勤務中の危険源も考慮しなければなりません。こうして考えるとその範囲は非常に広いと言えます。洗い出しは大変ですが、すべてに対処するのではなく、ある基準により対応是非の選択をすればよいのです。まずは洗い出せるだけ洗い出すことが第一と言えます。 |
コラム:防災用語 「線状降水帯」最近では、線状降水帯は予報の対象となり、たびたびニュースで流されることから知っている人も多いと思います。次々と複数の発達した積乱雲が表れ、同じ地域に線状に列を成すことで、長い時間、多くの雨を降らし続ける現象です。台風や河川洪水などと異なり、どこでも浸水する可能性があり、また土砂災害にも発展しやすいので、充分な注意と、早めの避難や対策が必要です。 |
★この日に起きた災害や事件、事故 池袋西武百貨店火災(昭和38年)死者7、負傷者114、名古屋高速空港バス横転炎上(令和4年)死者2、負傷者7 |
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