■備えあれば憂いなし-今日の話題 大手菓子メーカー火災の教訓から学ぼう! 一昨年(2022年)2月11日の深夜、新潟県村上市にある三幸製菓荒川工場で発生した火災は、約11時間後に鎮火しましたが、アルバイトさんを含む6人が犠牲となりました。消防庁は、その原因について、乾燥機の中に堆積したせんべいカスが、乾燥機や付近の焼き窯の熱を受け、また酸化反応も加わって300℃以上の高温となって発火した可能性が高いと公表しました。火災そのものの原因とは別に、6人もの死亡者を出してしまった背景は別にあるようで、昨年12月には、当該事故調査委員会が報告書を公表しています。その報告書によれば、①避難訓練は日中に開催していて、夜間作業者を対象とした避難訓練は未実施であった。②火災が発生すると防火シャッターが作動して使用できなくなり、防火扉からの避難が必要となることを認識していた従業員はほとんどいなかった。③火災報知器の警報音について、大部分が誤報と受け止められる傾向にあり、警報音が鳴っても作業を継続することが一般的となっていた。等でした。この火災を受けて、同社は、発火予防対策、延焼防止対策、避難対策等の項目を実施するとしています。とりわけ、避難対策では、❶火気を使用する設備の監視体制見直し、❷避難経路の色分け、蓄光テープの貼付と誘導灯の増設、❸全従業員のハンディライト常時携帯、❹避難マニュアルの更新と夜間を含めた避難訓練実施、❺工場内への非常口追加設置、❻構内に1次集合場所の設定、避難誘導班指揮による集合・避難、を決定しています。私は、仕事柄、多くの工場、特に食品工場や薬液を使用する工場に訪問する機会が多いのですが、緊急時に向けた準備、テストを含めた訓練について尋ねると、まだまだ不足している現実を感じます。管理者はわかっているが、作業員は知らないということはよく見られます。例えば、普段電動で開閉する扉やシャッターの停電時の手動開閉手順、一定幅の通路確保の重要性、消火訓練に参加していない要員の消火器の位置や使い方の知識、AEDの場所、夜間訓練、どの程度真っ暗になるかの認識等々について、不十分さが窺えます。また、訓練は、集合するだけの訓練が多く、総務部等が主導で行う傍ら、参加者は各部門から数名程度という実態もよく見られます。さらに、発火場所想定は、固定していて、管理厚生棟の食堂からの発火等は、歴史ある工場でも手つかず、ましてや机上訓練に至っては、実施事例は皆無に近い状況でした。どうすれば、働く人々が安心して働け、緊急時でも命を失わずに済むのか、今一度真剣に考えたいものです。 |
コラム:防災用語 「率先避難者」危険が迫っていたり、危険情報に接したりした時に、その危険を強くイメージして、自ら率先して避難、危険を回避しようと行動を起こす人をこのように言います。この率先した行動によって周りにも追随して避難しようとする行動を促して、ひとりも命を落とさず危険から逃れることができると言われます。 |
★この日に起きた災害や事件、事故 東南海地震(昭和19年)M7.9、死者998、家屋全壊・流失29,189、アルメニア地震(昭和63年)M6.8、死者25,000 |
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