12月25日 朝礼話材

■備えあれば憂いなし-今日の話題
労働契約法と災害と安全配慮義務  労働契約法は、従業員のみなさまにはあまり身近な法律でないかもしれませんが、注目すべき法律のひとつです。この法律は、労働に関わる紛争防止や労働者保護を目的に、労働契約に関して考え方や決め事を定めた法律です。2008(平成20)年に施行されている法律です。そのあらましは、厚生労働省が作成した資料「労働契約法のあらまし」で確認することができます。条文ごとにその趣旨や内容を解説してくれています。法制定の趣旨等 (mhlw.go.jp)。(ちなみにその後に改正された点のあらましを記した「労働契約法改正のあらまし」という資料も出されていますが、法律の全体を見るには、先の資料がよいと思います)。さて、今日、このコーナーで紹介したいのは、この法律の中にあるひとつの箇条です。それは「第5条」で「労働者の安全への配慮」という条項です。「第5条 使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。」という内容です。この条項について、当該資料から解説文を引用してみたいと思います。そこには、(1)趣旨と(2)内容とが記されています。(1)趣旨では「通常の場合、労働者は、使用者の指定した場所に配置され、使用者の供給する設備、器具等を用いて労働に従事するものであることから、判例において、労働契約の内容として具体的に定めずとも、労働契約に伴い信義則上当然に、使用者は、労働者を危険から保護するよう配慮すべき安全配慮義務を負っているものとされていますが、これは、民法等の規定からは明らかになっていないところです。このため、法第5条において、使用者は当然に安全配慮義務を負うことを規定したものです。」とし、(2)内容では「①法第5条は、使用者は、労働契約に基づいてその本来の債務として賃金支払義務を負うほか、労働契約に特段の根拠規定がなくとも、労働契約上の付随的義務として当然に安全配慮義務を負うことを規定したものです。②法第5条の「労働契約に伴い」は、労働契約に特段の根拠規定がなくとも、労働契約上の付随的義務として当然に、使用者は安全配慮義務を負うことを明らかにしたものです。③法第5条の「生命、身体等の安全」には、心身の健康も含まれるものです。④法第5条の「必要な配慮」とは、一律に定まるものではなく、使用者に特定の措置を求めるものではありませんが、労働者の職種、労務内容、労務提供場所等の具体的な状況に応じて、必要な配慮をすることが求められるものです。なお、労働安全衛生法(昭和47年法律第57号)をはじめとする労働安全衛生関係法令においては、事業主の講ずべき具体的な措置が規定されているところであり、これらは当然に遵守されなければならないものです。」と記されています。昨今では、大規模な地震の発生や、台風・線状降水帯の発生等による災害発生が見られますが、そのような災害に見舞われた際にも、本法律箇条は、仕事に従事している従業員に対して適用されます。従って、もし、災害防止措置を講じなかったことによって、従業員に災害を被らせ死傷した場合、組織側は安全配慮義務違反となり、当該従業員に対して、損害賠償責任が生ずるとされます。現に、東日本大震災において、本法を根拠とした判例がみられます。我が国においては、どこにおいても地震・水災・火災といった災害に見舞われる恐れがあり、それに対して、就業中の従業員がいかに死傷しないか、さまざまな備えや準備をしていくか、大きな課題と言えるでしょう。
コラム:防災用語 「熱中症」熱中症は、2000年から言われ始めた用語で、それ以前は「日射病」「熱射病」と分けて呼ばれていました。前者は強い直射日光に長い時間当たることで発症したもの、後者は高温多湿の環境下で長い時間いたことで発症したものでしたが、「熱中症」という用語に統一されました。必ずしも夏のみの発症ではなく、季節を問わず起こり得ます。
★この日に起きた災害や事件、事故
なし

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