■備えあれば憂いなし-今日の話題 環境ISO要求事項、見落としていませんか?① 環境保全活動に取り組んでいる企業は多いと思います。マネジメントシステムによってPDCAを回し改善を図る仕組みを取り入れ、外部機関による認証を得ている企業も少なくないでしょう。その認証制度のひとつにあるのがISO14001環境マネジメントシステムです。2025年末から2026年に向けて新たな改正作業が動き始めていますが、最新版は2015年版となっています。今日は、そのISO14001:2015の要求事項の中で、見落としがちな内容について、明日の本欄を含め2度にわたり紹介したいと思います。これまでの規格要求事項、また他の認証制度の要求事項は、その主体が“企業側が環境に与える影響”を重要視し、いかに自然環境を保全し、悪影響を及ぼさないか、地球温暖化を低減する施策を行い、それらの視点による対策や準備、運用を維持、改善することを求めています。もちろんその視点は重要であり、欠かすことはできません。しかし2015年版環境ISOで、新たに要求事項に加えている点があります。それが「環境が企業に及ぼす影響の緩和、低減」です。規格4章:組織の状況の4.1箇条:組織及びその状況の理解項に「成果を達成する能力に影響を与える内外の課題には、組織に影響を与える可能性がある環境状態を含めなければならない」という一文です。そして規格6章:計画の6.1箇条:リスク及び機会への取組み項では「その課題に関連するリスク及び機会として、外部の環境状態が組織に与える可能性を含め、望ましくない影響を防止又は低減する」「組織は、潜在的な緊急事態を決定しなければならない」として、外部から受ける影響を防止、つまり防災対策、低減、つまり減災対策によって、成果を達成しようとする能力に影響が及ぶことに手を打つことを求めているのです。さらに、規格要求事項の後にある「附属書A(参考)この規格の利用の手引き」、A.6.1.1項でも、「緊急事態は、潜在的な結果を防止又は緩和するために適用する、予期しない事象を含める」としていて、組織に対する影響をもたらす例示として、火災や悪天候を挙げ、緊急事態の最も起こりやすい種類及び規模、近接した施設で緊急事態が発生する可能性も考慮するよう求めているのです。こう見てみると、自社だけで完結する環境マネジメントではなく、より広く捉えて、自然環境が及ぼす影響、近隣施設が及ぼす影響にまでも、考慮に加えていかないと、本来の成果が達成しえない、事業継続にも影響が及ぶと、すでに2015年版が警鐘を鳴らしていたと考えることができます。そのことは、誰一人取り残されない世の中にしていきたいとするSDGsにも繋がります。明日の本欄では、さらに、附属書A、翻訳されたJIS規格文末にある解説文を引用しながら、国の動きも含めて、環境ISOそのものが、すでに気候変動適応に言及しているということについて触れたいと思います。 |
コラム:防災用語 「省庁メルマガ」省庁では、それぞれ情報提供手段として、一般に向けたメールマガジンを作成し発行しています。その中で私の情報源としているメルマガを紹介しましょう。環境省、厚生労働省、国土交通省です。3日と空けずに送られてくるメルマガですので、読み切れないと思われるでしょうが、大事なのは上部に出てくる報道内容。とりわけ「閣議決定しました」とか「改正されます」といったタイトルに着目するだけで良いと思います。おのずと最新知見が身についていきます。メールマガジン&会員登録サイト [環境省] | 環境省 (env.go.jp)、情報配信サービス・メールマガジン登録|厚生労働省 (mhlw.go.jp)、国土交通省の各種メールマガジン配信サービス – 国土交通省 (mlit.go.jp) |
★この日に起きた災害や事件、事故 寿司由楼火災(和歌山・昭和46年)死者16、負傷者15、ナホトカ号海難・油流出災害(日本海・平成9年) |
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