■備えあれば憂いなし-今日の話題 すべてのマネジメントシステム規格要求事項に気候変動適応が加わる!?② 前回は、気候変動というキーワードが、ISO規格に盛り込まれるその背景について触れました。今日は、もうすこし深堀りして考えてみましょう。気候変動は、表の顔と裏の顔の両面があります。ひとつは、気候変動緩和、もうひとつは、気候変動適応です。気候変動緩和とは、字のごとく、いかに気候変動を緩めていくか、つまり温暖化を食い止める対策を打つという方。カーボンニュートラル、CO2排出ゼロを目指す活動は、国、企業ともに取り組んでいることと思われます。緩和に向けた法規制も多く、取り組まざるを得ないものです。もうひとつ、気候変動適応ですが、こちらには、機会と捉えてビジネスに活かすといった適応策と、リスクヘッジとしての防災・減災に向けた適応策とがあります。どちらかというと企業向けには法規制は少ない側です。よって義務化された事項についても活動は任意です。そのために、あまりメディアも取り上げず、適応について正しく捉えている企業は少ないかも知れません。ここで、ひとつ、気候変動に関わる国の施策を深堀りしましょう。我が国も多分に漏れずに気候変動適応に取り組む必要があります。なぜなら、気候変動の影響を災害と言う形で受けやすく、経済に多大な悪循環をもたらしてきているからです。国は、2020年、国会での議決前、6月の段階で、当時、武田良太防災担当大臣と小泉進次郎環境大臣の連名で、「気候危機時代の「気候変動×防災」戦略~「原形復旧」から「適応復興」へ~(共同メッセージ)」を発出しています。本文書は、国が先駆けて“気候変動”と“防災”を結び付けたメッセージです。本文中には、「気候変動と防災は、あらゆる分野で取り組むべき横断的な課題である。また、気候変動を踏まえた防災態勢を整備する適応策と同様に、気候変動のリスクを可能な限り小さくすることが重要な防災・減災対策であるという認識の下、温室効果ガスを削減する緩和策にも並行して取り組まなければならない。今後、各分野の政策において「気候変動×防災」を組み込み、政策の主流にしていくことを追求する。」とあり、このような見方を示したことは、極めて重要です。「気候危機時代の気候変動×防災戦略」900515794.pdf (env.go.jp)。これらの動きを踏まえて、2022年の防災白書には、その点が強く表現されたのです。「令和4年版防災白書 特集第3章第7節気候変動リスクを踏まえた防災・減災対策」です。この節では、⑴緩和策と適応策は気候変動対策の両輪、⑵気候変動適応計画の改定、⑶「気候変動×防災」「適応復興」の取組について、記されています。令和4年版 防災白書|特集 第3章 第7節 気候変動リスクを踏まえた防災・減災対策 : 防災情報のページ – 内閣府 (bousai.go.jp)。これらの動きについては、環境省も敏感に捉え、気候変動適応の重要性について、環境白書を通じても記載し、公表しています。「令和2年版環境白書第2節気候変動の影響への適応の推進」環境省_令和3年版 環境・循環型社会・生物多様性白書 状況第2部第1章第2節 気候変動の影響への適応の推進 (env.go.jp)。2018年頃から2023年までの、さまざまな動き、流れを見てきましたが、この過程で産み落とされた法律が、「気候変動適応法」です。2018年6月に制定されました。仕事柄、多くの企業に出向いて本法について伺うのですが、制定されて6年たちますが残念ながらまだまだ知られていません。直近では2023年4月に、熱中症対策が加えられ改定発行されています。「気候変動適応法の概要」000149290.pdf (env.go.jp)。 |
コラム:防災用語 「凍結融解」崖や斜面沿い等において、岩石や岩盤内にひずみが生じ、気温の上下変動の中で、ひずみにある水分が凍ったり溶けたりを繰り返すうちに、ひずみが拡大して、ある時突然に岩石・岩盤崩壊してしまう現象です。天気が良い日にも突然起こり得る現象です。 |
★この日に起きた災害や事件、事故 羽後仙北部地震(大正3年)M7.1死者94、家屋全壊640、日光東照宮薬師寺消失(昭和36年) |
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