■備えあれば憂いなし-今日の話題 今、国が想定している巨大地震 日本列島は、四方を海と4つのプレートとで囲われた世界有数の変動帯にあります。現在、我が国において最も確実性の高いとされる巨大地震について、今日、改めて確認しておきましょう。ひとつは「南海トラフ地震」です。南海トラフはアジア大陸のユーラシアプレートに、南太平洋のフィリピン海プレートが潜り込む形で形成される断層で、東域は東海地域から西域は宮崎地域に及んでいます。今後30年以内に、マグニチュード8~9クラスの巨大地震が発生する確率が70%から80%と切迫度の高い地震です。20年以内の発生確率は60%とも評価されています。トラフが広域に及ぶことから、昨今では一カ所でマグニチュード8クラスの地震が発生した場合、続いて数日内に、連続して同クラスの巨大地震が発生する可能性も高いと叫ばれています。国は、特別法として「南海トラフ地震対策特別措置法」を定め、著しい災害被害が発生する恐れがある地域の指定などが行われています。地震発生から30分以内に30センチ以上の浸水が予測される津波域は、対策特別強化地域として、東は千葉県から西は鹿児島県まで1都13県、139の市町村が対象として指定されています。ふたつめは「日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震」です。北米プレートに太平洋プレートが潜り込む断層域で発生するもので、規模が大きいと予測されるのは、千島海溝域(北海道東太平洋沖)を発生域とするマグニチュード8程度、30年以内発生確率40%と評価される巨大地震です。もっともこの海溝域はいくつかに分散して巨大地震が発生する可能性が高いとも言われ、いつどこで起きてもおかしくない切迫性があるとされています。ひとたび発生すると、東北から北海道の太平洋沿岸では、20メートル級の津波に襲われるとも言われています。こちらも国は特別法として「日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震に係る地震防災対策の推進に関する特別措置法」を発出しています。みっつめが「首都直下地震」です。東京、千葉、茨城、神奈川といった地域で、阪神・淡路大震災と同様に、直下型地震が予測され、マグニチュード7程度で30年以内の発生確率が70%と言われています。直接的な被害の広域性、多大性はもとより、政治・経済機能の停滞によるダメージがとてつもなく大きいと考えられています。こちらも特別法として「首都直下地震対策特別措置法」が策定され発出されています。 |
コラム:防災用語 「トリアージ」トリアージとは、災害や事故によって、傷病者が多数発生した時に、その傷病状態を診て緊急度や重篤度に応じて優先度を決定することを言います。治療する順位、救急搬送する順位、搬送する先の決定を出来る限り瞬時に行っていくことから、救命救急識別などとも言われます。トリアージタグという札を手元に用意し、識別に従って傷病者を色で分けていきます。 |
★この日に起きた災害や事件、事故 飯田大火(昭和22年)家屋消失3,742 |
特集記事:「女性に配慮した防災用品」
こと防災に関しては、長い間、男性中心で考えられ、女性の視点で考えられずにきました。最近になってようやく防災士にも、地域防災計画に取り組む人々の中にも、ボランティアに加わる人にも、女性が増え、いろいろなところで女性の視点での意見の発信が見られるようになってきました。とても良いことだと思います。この防災用品についても同様です。ここでは、飲食の面と、一般雑貨の面の両方を考えてみたいと思います。まず、飲食の面ですが、その場の炊き出しを除いて、こちらは昨今の非常食(ローリングストックの観点から非常食と呼ぶのは疑問もありますが)は、ずいぶん改善されたかに思われます。しかしいざ避難所に支給される食事はどうかというと、やはり数多く供給できる業者製品が中心となりがちで、工夫された美味しい食料品が届くかどうかは疑問です。特に洋食系食材(パン類やサラダ類など)は供給力や開発が遅れていないでしょうか。また、私もずいぶん試しましたが、全般的に味付けが濃いように思われます。続いて、一般雑貨です。忘れがちなのがストッキングや靴下、化粧道具、手鏡、ヘアゴム、スリッパ、着替え下着、ちょっとした手帳とボールペンなどです。サニタリー関係は用意がだいぶ進むようになりましたが、軽失禁対応商品にまでは至っていません。さらに、ハンドクリームやターバン、ストールなどはどうでしょう。当たり前となっているトイレでの洗浄水は、災害時使用できなくなることから、携帯用の代替品が出始めています。マスクは感染対策というより、顔隠しに必須でしょうか(笑)。ここで示したような雑貨類は、その時まで非常袋に入れておく・・という考えよりも、普段から使用しているものを、いざという時に一気に持ち出せるよう、まとめておくという考えをお勧めします。このようにして、少しでも普段に近い避難生活ができるようらしましょう。なお、強いて言うなら、まだまだLGBTQ(性的少数者)の視点は薄いと思います。また、乳幼児、過活動膀胱といった症状を有する人、アレルギーや生活習慣病を有する人などへの支援準備も遅れていると思います。つまり全体として少数者側への細やかな配慮が遅れているのです。今後間違いなく発生する大災害に向けて、一層これらの視点を重視した議論や施策充実が期待されます。
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