■備えあれば憂いなし-今日の話題 シリーズ連載:企業は防災のため順番に何をすればよいか⑧ 対象となり得る災害の種類、被災の程度を想定する! プロジェクトメンバーを選任し、会合日程を決めたなら、まず行いたいことは、それぞれの場所で対象となり得る災害の種類、被災の程度を想定しましょう。襲い掛かるであろう災害は、その立地によって異なります。また被災の程度も異なります。例えば周辺には、まったく火山がないという立地であれば「火山噴火」を対象とする必要はありませんが、近くに噴火の可能性が話題に上がる、または警戒レベルが今は低くても噴火想定されている火山があるなら、「火山噴火」を災害対象に挙げない訳にはいきません。同じように、政府や行政が注視している災害、行政が地域防災計画やハザードマップ等で示している災害は、対象にすることが優先ポイントです。対象災害を確実に押さえないと、次の工程には進めないと考えましょう。そして、次は、対象として押さえた災害について、被災の程度を想定することになります。建屋は崩れるか、モノが落ちるか、火災や爆発が発生するか、閉じ込められる従業員は発生するか、顧客に影響が及ぶか、浸水等で横移動ができなくなるか、受発注機能を失うか、原材料や中間製品、最終製品、販売商品等をどのくらいダメにしてしまうか、今の従業員の何割が社に戻れなくなるか、帰宅できなくなる従業員はどのくらい発生するか等々、いくらでも考えるべき想定はでてくるはずです。 被災後の復旧手順の構築、文書等による可視化のための検討を進める! 被災の程度を想定すればするほど、どうしようかの発想につながるはずです。災害による被災後、いかに早く復旧させるか、その手順を考えることとなります。使える建屋、ラインはこれだけで、集まれる従業員は何人だから、取り急ぎ〇〇はこのくらい生産できる、これは一時生産停止、これはサプライチェーンがダメになっている可能性あり、生産計画は立たない、等々です。これまでの活動のすべてを元通りに戻してから事業再開するのは、現実的ではありません。相当の時間を要してしまう可能性が高いでしょう。方向性として2通りあります。ひとつは、優先順位を決め、どの範囲から事業再開するのかを決めて復旧させる手順。つまり重要業務を優先させる考え方です。もうひとつは、すぐに復旧できるものは何かを評価し、復旧優先させてから、事業再開へと展開する手順です。つまり生産・製造できるモノ、提供できるサービスを優先させる考え方です。BCPの中では、一番手間と時間がかかる作業となりますが、人・モノ・金・情報をいかにどのような条件下で復旧させていくか、役割分担とともに構築し、文書等によって可視化していくこととなります。この段階は、BCPという文書を作ることが目的ではなく、あくまでも、このような災害でこのような被災をしたなら、どのように手を打っていけばよいかをどれだけ詳細に考えうるかということにつきます。 |
コラム:防災用語 「災害救助法」災害救助法は、その法律の第一条に、その目的が記されています。「災害が発生し、又は発生するおそれがある場合において、国が地方公共団体、日本赤十字社その他の団体及び国民の協力の下に、応急的に、必要な救助を行い、災害により被害を受け又は被害を受けるおそれのある者の保護と社会秩序の保全を図る」ことを目的とした法律です。昨今、この法律が適用される災害が、非常に多くなっています。 |
★この日に起きた災害や事件、事故 長野地附山地滑り災害(昭和60年)死者26、負傷者4、家屋全壊70、宮城県北部地震(平成15年)M6.4、負傷者677、家屋全壊1,276、調布飛行場小型機墜落事故(平成27年)死者3、負傷者5 |
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