7月31日 朝礼話材

■備えあれば憂いなし-今日の話題
被災すると復旧復興までどのくらいかかるか?  ひとたび、大規模災害が発生して、地域一帯が被災し、多くの人々が家や家族を失うと、一旦止まったライフラインが復旧したとしても、復興に至るまでは相当の年月が必要であることは、2011年の東日本大震災で思い知らされたものでした。実際に、生活が元の状態に近く再建されるには、10年以上を必要とするとしたデータもあります。人々が、生活が再建できたと実感できるのは、何が元のようになった時なのか、阪神・淡路大震災後の神戸市による長期追跡データに現れています。それによれば、第一は「住まい」でした。続いて、「繋がり」、「街」、「備え」、「心と体」、「暮らし向き」となっていました。住まいの再建はある程度早い段階で出来たとしても、心や体が元のようになるには、また、暮らし向きが元のようになるには、それはそれは長い年月がかかるということでしょう。ライフラインがどのくらいで復旧するか、厚生労働省が発表している東日本大震災時の報告書では、電気がおよそ3日~7日、水道が7日~20日、ガスが25日~35日ほどであったようです。それと並行して避難所運営、仮設住宅建設着工、各種行政支援が進み、地元商店が復活し始めるという具合に進展するようです。ただ、人が戻らない限り、なかなか規模の大きい商業施設や、飲食店、娯楽施設は復活しないため、地域の人々にとっては復興したというには、簡単には言えない状況のようです。熊本県人吉市周辺を襲った球磨川の氾濫では、各所の家が浸水のみならず崩壊し、私が2年後に訪ねた時点では、多くの場所で歯が抜けたような空き地が多数見られ、また、宿泊施設や商店も、まだまだ再開に至っていない状況が見られたものです。元のような生活を取り戻すには、まだ多くの時間が必要のようでした。このような現実があることを、多くの人が知って、だからこそ、先に資源を投入し、あるいは費用をかけてでも事前に被災の程度を低くする対策をしていく必要を、皆で理解し合うことが今、求められていると思うのです。それが、被災してから動き出す復興ではない、事前復興の始まりなのです。
コラム:防災用語 「スロー地震」瞬間的に大きく層がずれて発生する通常の地震に対して、ゆっくりと時間をかけて断層がすべり小規模な揺れを起こす現象です。まだ研究途上のようではっきりしたメカニズムはわかっていないようですが、近い将来発生が予測されている南海トラフ地震のプレート境界で発生する現象と言われています。研究成果によっては、巨大地震に繋がる関連や前兆がわかってくるかも知れません。
★この日に起きた災害や事件、事故
養護施設陽気寮火災(神戸市・昭和61年)死者8

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