■備えあれば憂いなし-今日の話題 なぜ雨が止んでからも冠水、増水するのか? 雨が降っていない良い天気でも、河川が急に増水することがあります。今年8月20日に神奈川県秦野市を流れる水無川でそれは起きました。河川内で水遊びしていた11名が足をすくわれ8名は自力で川淵に上がりましたが3名が数百メートル流されました。いずれも救助され大事に至りませんでしたが、普段はほとんど水流がないこの川でまさかの出来事であったと言います。原因は、上流に大量に降った豪雨によるものだったようです。天気が良い日、今、目の前にしている河川が急に増水するなどと誰も思わないことでしょう。しかし本件は大きな教訓として今後に活かさなければなりません。このような事象は、ときおり河川沿いのキャンプ地でも発生しており、死傷事故がニュースで流れることもしばしばです。天気が良くなれば、そんなことは起きないだろうと思うこと自体が、正常性バイアスに陥っているのです。上流で相応に降り続いた雨量が地面に浸透しきれずに、谷に流れ河川に増水をもたらしたり、または、かなり離れた上流ダムがいっぱいになって、計画的に放流したりします。豪雨をもたらした付近の河川は、1日程度は近づかない方が良いでしょう。少し専門的に解説してみたいと思います。雨が止んでいても危険なのは、その河川のはるか上流の気象状況が、数時間または1日近くたってから影響を及ぼすからです。狭い範囲で見てしまうと、雨が止んだ→もう増水しない、と捉えてしまいますが、広い範囲で見れば、都道府県の広さ、もっと言えば〇〇地方全体を俯瞰的に捉えないと、その危険は察知できません。小河川であっても、上流で大中河川と繋がっていたり、ダム湖と繋がっていたり、県をまたいだはるか先の山々に繋がっていたりと、地形図さながらの視点で捉えてみることが必要です。上流に降った雨量、途中の傾斜、河川幅や巻き込む土砂の程度によって、下流までに届く時間、水量は大きく異なります。台風が去り、いい天気となって、河川ではキャンプをする人々で賑わい、テントを張ってバーベキューをする、水量は少なく泥も流れていった・・・もう大丈夫!と思わないことです。過去の災害事例のほとんどは、そのような中でいきなり増水して、命を落としている事例なのです。ちなみに、数日してから山肌、斜面にしみ込んだ水量が、岩に浸透し、突然崩壊して、いい天気が続いていた中で、土砂崩れが発生した事例もあるのです。警戒し安全な場所を選んで、危険リスクが少ない中で、アウトドアを楽しみましょう。 |
コラム:防災用語 「熊本地震震災ミュージアム」記憶の廻廊とも言い、熊本地震の記憶を未来へ遺し学ぶ回廊型フィールドミュージアムと謳われています。ひとつの建物を言うのではなく、地震で被害を受けた複数の建物を周遊するような形式で築かれています。熊本城や村役場、仮設団地、旧東海大阿蘇キャンパス等々で構成されています。熊本地震震災ミュージアム (kumamotojishin-museum.com) |
★この日に起きた災害や事件、事故 庄内地震・酒田大火(明治27年)M7.0、死者726、家屋全壊3,858、家屋全焼2,148 |
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